弥生賞

今週末は弥生賞チューリップ賞。今年もいよいよクラシックの蹄音が聴こえてきた。
この間金杯があっていたと感じていますが、競馬をやっていると月日が経つのが早い。ということで、弥生賞の展望に入ります。

例年勝ち馬が、同じ舞台で行われる皐月賞で人気を集めるのは当然だが、ダービーや菊花賞でも結果を残しているのは注目すべきだろう。つまり、タフな中山中距離戦に好メンバーが揃うことにより、この舞台だけに収まらず、世代のトップを決める最初の関門になっているのだ。

勝ち馬を見ると、ウイニングチケット・スペシャルウィーク・ロジユニヴァースがダービーを勝ち、ダンスインザダーク・ナリタトップロードが菊花賞を勝ち、そして言うまでもなく「無敗の3冠馬」ディープインパクトはその両方を勝っている。無敗でここを通過したもののダービー前にリタイヤしたフジキセキ・アグネスタキオン。この2頭は、今でも史上最強馬議論には登場する名馬で、何よりも種牡馬成績を通じてその能力の高さを証明した。そしてヴィクトワールピサは3歳にして有馬記念を制したし、他には4歳でドバイDF・宝塚・JCをぶち抜いて年度代表馬になったアドマイヤムーン、道営から海外G1を制したコスモバルク、11年にはマイルCSを制したサダムパテックなども。この時点での高い完成度が要求されるので、古馬になって大活躍というよりは、やや早熟な傾向が見て取れるが、いずれにしても「3歳最初の世代リーダー」を決める戦いと言っていいだろう。

ただ、このレースも近年やや変貌を遂げている。というのも、2000年以前はレース「上がり」が35秒台になったのはただ1回(96年ダンスインザダーク)だったのに、ここ10年のうち7回は上がり35秒台、しかもうち2回は34秒台なのである。
もちろん、総じて現在に近付いた方が「時計が出やすい馬場」であり、同じ尺度で比べるのは不正確だ、という指摘もあるだろうが、良馬場での平均勝ちタイムは「90年代=2’01”7」「00年代=2’01”5」。つまり時計水準はあまり変わらないのに、ラップが大幅に変わってきている。
理由としては、「とにかく折り合って後方から脚を測った方が、トライアルとして有効という考えが広まっている」や「エージェント全盛で乗り替わりが頻繁になり、潰れるリスク覚悟で一か八かより着を拾う乗り方の方が安全になってきた」…などがを考えたが、やはり「NHKマイルができ、マイル戦線が本格的に認知・整備されてきたので、この時点でスプリンターがトライアル(2000m)に出走する比率が減ってきた」という要因と私は感じる。

そんな「中距離馬が、それなりに速い上がりを競う」舞台となった弥生賞、つまり過度の底力は問われないレースになってきているのだが、それでも「圧倒的に格上」の馬は持続力だけでなんとかしてしまうのが事実。この辺の呼吸は先週の中山記念と似ている。

弥生賞(G2・中山10F)
05:37.4-49.9-34.9=2'02"2(ディープインパクト)
06:36.2-49.7-35.6=2'01"5(アドマイヤムーン)
07:34.5-50.8-35.2=2'00"5(アドマイヤオーラ)
08:36.1-50.5-35.2=2'01"8(マイネルチャールズ)
09:35.9-51.8-35.8=2'03"5稍(ロジユニヴァース)
10:37.1-52.2-36.8=2'06"1重(ヴィクトワールピサ)
11:36.3-50.0-34.7=2'01"0(サダムパテック)
12:36.2-52.3-35.4=2'03"9稍(コスモオオゾラ)


ディープインパクト以降のラップを記してみた。
稍重、重のレースがあり、その馬場差を考慮して、「①中盤4F50秒前後」の05・06・11年」「②中盤4F50秒台半ば」08・10年、「③中盤4F51秒前後」の07・09・12年の3つに分けて考えてみる。

最も中盤が速い①はディープインパクト・アドマイヤムーンと、年度代表馬級が並び、続く②のマイネルチャールズ・ヴィクトワールピサは皐月賞で好走の後、距離延長にもそこそこ対応、③のアドマイヤオーラ・ロジユニヴァースは皐月賞で大人気を裏切り、ダービーで馬券になった、とそれぞれ特色がある。ここ2年に関して言えば、11年には3冠馬がいることにより1冠を逃したサダムパテック。またここの皐月は東京開催ということを忘れずに。12年は稍重を考慮しても緩いペースとなっており、今後活躍していく馬は上がりがきっちり使えているものだけである。その中にはフェノーメノ、クラレントと今重賞で活躍している馬もいる。

しかし。アドマイヤムーンはクラシックで人気を裏切り続けたように、3歳のリーダーとしては物足りない成績で、これは①でも、前世紀の急流には全く及ばない流れだからだと思われる。逆に中盤緩い③の勝ち馬が、底力不足の不安を払拭して距離延長のダービーで復活したのは、そもそもここで問われる程度の底力比べで優位に立ったのではなく、中山での上がり比べで負けない持続力が最大の武器であったからだろう。
結局、このレースだけを根拠にクラシックの中心に据えてはいけないのがよく分かる。本番を控えた素質馬が軽やかに舞う「お披露目」程度のレースで、本質的な底力の評価は別物(の場合が多い)と考える。しかしながら、今後を占うレースに変わりなく、とても楽しみである。

そこで今年のメンバーを見渡すと…重賞勝ち馬がエピファネイア、コディーノと2頭で実は12年以外の勝ち馬は「重賞勝ち」というレースなので、この2頭にはやはり注目。
しかし、連勝馬もおり侮れない。「王道の素質馬が、流れを問わず総合力で軽やかに通過する」には一枚足りない「次位グループ」から抜け出すのは果たしてどの馬だろうか。すべてのレースで上がり最速を繰り出している「カミノタサハラ」、ラジオNIKKEI2・3着「バッドボーイ、キズナ」、2連勝の「サトノネプチューン」、連対を外したことのない「ヘミングウェイ」と今年は2頭を筆頭にクラシックを占ういいレースになりそうな予感。つまり「次位グループ」は例年以上に駒が揃っている(登録時点)ので、逆に「お披露目」レースを超えた底力勝負になる可能性もありそう。「王道の素質馬」にも注目だが、「次位グループ」からクラシックに向けての穴馬を見つけるこも忘れずに!